いざ自分の数珠を一本購入しようと思っても、仏具店には様々な種類や材質、価格のものが並んでおり、どれを選べば良いのか迷ってしまうかもしれません。失敗しない数珠選びの基本的なポイントを知っておきましょう。まず、数珠には大きく分けて二つの種類があります。一つは、各宗派の正式な形に則って作られた「本式数珠」、もう一つは、どの宗派の人が使っても良いとされる「略式数珠」です。自分の家の宗派がはっきりしている場合は、その宗派の本式数珠を持つのが最も丁寧ですが、珠の数が百八つあるなど、大ぶりで扱いに慣れが必要なものもあります。そのため、一般の人が最初に持つ数珠としては、一重の輪で珠の数が少なく、コンパクトな「略式数珠」を選ぶのが最も一般的で、かつ実用的です。略式数珠であれば、どの宗派の葬儀に参列する際にも、失礼なく使うことができます。次に、珠の「材質」です。数珠の材質には、黒檀や紫檀といった木の珠、水晶や瑪瑙といった石の珠、そして菩提樹の実など、実に様々な種類があります。どの材質を選ぶかは、基本的には個人の好みで決めて構いません。古くから、木の珠は使い込むほどに手に馴染み、石の珠にはそれぞれ特別な力が宿ると言われています。例えば、水晶は浄化の力が、瑪瑙は人間関係を良好にするといった意味合いがあります。自分が惹かれる材質や、その石が持つ意味で選ぶのも良いでしょう。また、数珠には男性用と女性用があります。一般的に、男性用は珠が大きく(十ミリ以上)、女性用は珠が小さく(六ミリ~八ミリ程度)作られています。色合いも、男性用は黒や茶といった落ち着いたものが、女性用は水晶やローズクォーツといった淡く美しい色のものが人気です。価格は、数千円のものから数十万円以上するものまで様々ですが、大切なのは値段ではありません。自分が「これだ」と思える、愛着の持てる一本を見つけること。それが、長く大切に使い続けるための、最良の選び方です。
数珠の種類と選び方の基本