故人が生前、体の一部のように大切にしていた愛用のメガネを、最後のお別れの際に棺に入れてあげたいと願う遺族は非常に多いですが、実は火葬場のルールや環境への配慮から、メガネをそのまま棺に納めることが禁止されているケースがほとんどであることを知っておく必要があります。一般的なメガネのレンズはガラスやプラスチックで作られており、フレームには金属や硬質プラスチックが使われていますが、これらは高温の火葬炉に入れても完全には燃え尽きず、溶けたガラスや金属が遺骨に付着して汚してしまったり、火葬炉の設備を傷つけて故障の原因になったりする恐れがあるためです。特に、溶けたガラスが遺骨とお骨壷の中で固まってしまうと、見た目が悪くなるだけでなく、収骨(お骨上げ)の妨げにもなるため、火葬場職員から「メガネは入れないでください」と強く指導されることが一般的です。しかし、どうしてもメガネを持たせてあげたいという遺族の気持ちに応えるための代替案はいくつか存在しており、例えば、出棺の直前までは顔にかけてあげて、蓋を閉める瞬間に外して遺族が形見として持ち帰るという方法や、メガネを持った故人の写真を棺に入れるという方法があります。また、最近では「副葬品用の木製メガネ」というものが葬儀社によって用意されていることもあり、これは木で作られた実物大のメガネの模型で、燃えやすく遺骨を汚さないため、故人の旅立ちのアイテムとして棺に納めることができます。もし、どうしても実物を入れたい場合は、骨壷の中に遺骨と一緒に小さなメガネ(あるいはパーツ)を入れることができるか葬儀社に相談するか、金属やガラスを使わないオール可燃素材のメガネを探すといった工夫が必要になります。愛用品を副葬品にしたいという気持ちは尊いものですが、最後のお骨上げの瞬間に「きれいな遺骨で送り出してあげたい」という願いを優先し、物理的なメガネではなく、心のメガネをかけてあげることで、故人は迷わずに天国への道を歩んでいけるのではないでしょうか。
故人の愛用メガネを棺に入れる際の問題点