葬儀に参列する際、喪服や靴、バッグなどの持ち物には細心の注意を払う人が多い一方で、顔の一部とも言える「メガネ」のマナーについては意外と見落とされがちであり、知らず知らずのうちに失礼な装いをしてしまっているケースが少なくありません。基本的に葬儀におけるメガネは、ビジネスシーンで使用できるようなシンプルで落ち着いたデザインのものが好ましく、フレームの色は黒、茶、シルバー、グレー、紺といった主張の少ない色が適しています。最近ではファッション性の高いメガネが増えていますが、赤や黄色、ピンクといった原色に近い鮮やかな色のフレームや、白などの膨張色は、厳粛な葬儀の場では浮いてしまい、「遊びに来ているのか」と不謹慎な印象を与えかねないため避けるべきです。また、フレームの形状に関しても、あまりに奇抜なデザインや、顔の半分を覆うようなオーバーサイズのものは避け、スクエア型やオーバル型などのオーソドックスな形を選ぶのが無難ですが、普段からそのメガネしか持っていないという場合は、予備の落ち着いたメガネを作るか、コンタクトレンズの使用を検討するのも一つのマナーと言えるでしょう。素材に関しては、プラスチック(セルフレーム)でも金属(メタルフレーム)でも問題ありませんが、金属製の場合は金ピカに光るゴールドよりも、つや消しのマット加工が施されたものやシルバー系の方が弔事にはふさわしく、プラスチック製の場合も鼈甲(べっ甲)柄や派手なマーブル模様が入っているものは、殺生を連想させたりカジュアルすぎたりするため注意が必要です。もし、手持ちのメガネが派手なものしかない場合は、急遽100円ショップや雑貨店で売られている簡易的な老眼鏡や伊達メガネで代用するという手もありますが、度数が合わないと危険ですので、社会人の嗜みとして一本はフォーマル用の「黒縁メガネ」を持っておくことを強くお勧めします。メガネは対面した時に真っ先に目に入るアイテムですから、その選び方一つで参列者の品格が問われることを意識し、故人と遺族への敬意を表すために、控えめで清潔感のある装いを心がけることが大切です。