突然の不幸で、まとまった現金の用意がない。故人の預金口座は凍結されていて、すぐには引き出せない。そのような状況で、葬儀社から数十万円の前金の支払いを求められたら、どうすれば良いのでしょうか。多くのご遺族が直面する可能性のある、この切実な問題。しかし、慌てる必要はありません。いくつかの対処法を知っておけば、この困難を乗り越えることができます。まず、最初にすべきことは、葬儀社の担当者に、正直に「今すぐには前金が用意できない」という状況を相談することです。信頼できる葬儀社であれば、ご遺族の事情を無下に断ることはありません。支払い方法について、親身に相談に乗ってくれるはずです。その上で、具体的な対処法としては、いくつかの選択肢が考えられます。一つ目は「クレジットカードでの支払い」です。近年、前金や葬儀費用全額のクレジットカード払いに対応している葬儀社が増えています。カード払いであれば、手元に現金がなくても支払いが可能で、引き落とし日までにお金を用意する時間的な猶予が生まれます。ただし、カードの利用限度額を超えていないか、事前に確認が必要です。二つ目は「葬儀ローン」の利用です。多くの葬儀社は、信販会社と提携した葬儀専用のローンを用意しています。審査は必要になりますが、比較的簡単な手続きで利用でき、分割で支払っていくことが可能です。金利は発生しますが、当面の資金繰りの問題を解決する有効な手段となります。三つ目は、「公的な補助金の活用」を葬儀社に相談することです。国民健康保険や社会保険の加入者が亡くなった場合、申請すれば「葬祭費」や「埋葬料」として数万円が支給されます。この支給を見越して、前金の支払いを待ってもらえないか、交渉してみる価値はあります。そして、どうしても支払いの目処が立たない場合は、生活保護制度の中の「葬祭扶助」を利用するという道もあります。これは、生活困窮者を対象に、必要最低限の葬儀(火葬のみの直葬)費用を自治体が直接支払ってくれる制度です。大切なのは、一人で抱え込まず、まずは専門家である葬儀社の担当者に相談すること。必ず、何らかの解決策が見つかるはずです。
葬儀の前金が払えない時の対処法