葬儀社スタッフが見たメガネ選びの失敗談
私は長年、葬儀社のスタッフとして多くの式に立ち会ってきましたが、参列者の方々の服装は完璧なのに、メガネ選びで「惜しい」と感じたり、思わぬトラブルに見舞われたりするケースを何度も目撃してきました。ある若い男性は、急な訃報で慌てて駆けつけたためか、普段愛用していると思われるミラーサングラスのような遮光メガネで参列され、受付でギョッとされていましたが、ご本人は悪気がない様子で、焼香の際に遺族と目が合わず、なんとも言えない気まずい空気が流れてしまったことがありました。また、ある女性は、おしゃれな老眼鏡として首から下げられるタイプの派手な柄のメガネを持参されましたが、焼香でお辞儀をした瞬間にメガネがブラブラと揺れて香炉の中に落ちそうになり、慌てて手で押さえるというヒヤリとする場面もありました。さらに印象的だったのは、遺族の代表挨拶をされた喪主様が、緊張と涙でメガネが真っ白に曇ってしまい、手元に持っていた謝辞の原稿が全く読めなくなってしまって、数分間沈黙が続いてしまったという出来事で、すぐにスタッフがおしぼりを差し出しましたが、事前に曇り止めを塗っておくようアドバイスできなかったことを悔やみました。逆に、普段は派手なメガネをかけている方が、葬儀のためにわざわざ黒縁のメガネを新調して参列されたのを見たときは、その方の故人に対する深い敬意と誠実さを感じ、周りの親族の方々も「あの方はしっかりしている」と感心されていました。メガネは小さなアイテムですが、その人の「常識」や「心遣い」を雄弁に語るものであり、たかがメガネと侮っていると、厳粛な最後の儀式の場で、自分自身が恥をかくだけでなく、遺族や故人に対しても失礼な結果を招いてしまうことを、これらの失敗談から学んでいただければ幸いです。