通夜の後に葬儀場(斎場)に宿泊して故人と最後の一夜を共に過ごすことを「仮眠」や「通夜泊」と呼びますが、これは単なる宿泊ではなく「線香の番をする(寝ずの番)」という宗教的な意味合いが含まれているため、ホテルに泊まる感覚とは異なる特有のマナーと心構えが必要です。まず、宿泊できる人数は施設の広さや寝具の貸し出し数によって厳密に決まっていることが多いため、誰が泊まるのかを事前に親族間で話し合い、葬儀社に正確な人数を伝えておく必要がありますが、基本的には故人と近しい遺族や親族に限られるのが一般的です。葬儀場の宿泊スペースは、控室に布団を敷くだけの簡易的なものから、シャワーやベッドが完備されたホテル並みの設備を持つものまで様々ですが、いずれにしても公共の場であることを忘れず、深夜まで大声で話したり、過度な飲酒をして騒いだりすることは厳禁であり、他の利用者や近隣住民への配慮として静粛に過ごすことが絶対のルールです。また、寝具(布団セット)は葬儀社を通じてレンタルするのが一般的で、当日になって急に「やっぱり泊まりたい」と言い出しても手配が間に合わないことがあるため、早めの判断が求められますし、アメニティ(歯ブラシ、タオル、パジャマなど)は備え付けられていないことが多いため、各自で持参しなければならないことも覚えておきましょう。翌朝は告別式の準備で早朝からスタッフが出入りしたり、僧侶が到着されたりするため、身支度を整え、借りた寝具を片付け(あるいは畳んで端に寄せ)、部屋をきれいな状態に戻しておくことがマナーであり、散らかった部屋のまま式を迎えることは故人への無礼にも当たります。葬儀場での宿泊は、故人と過ごせる貴重な時間であると同時に、翌日の本番に向けて身体を休めるための休息の時間でもありますので、交代で仮眠を取るなどして無理のない範囲で「見守り」を行い、体調管理に努めることが、喪主や遺族としての重要な務めとなるのです。