葬儀におけるメガネ選びでしばしば議論になるのが、高級素材である「べっ甲(鼈甲)」や華やかな「金縁(ゴールドフレーム)」のメガネを着用しても良いのかという問題ですが、これには伝統的なマナーの観点と現代の感覚の両面から判断する必要があります。まず、べっ甲フレームについてですが、本来べっ甲はタイマイというウミガメの甲羅から作られるため、厳密な仏教のマナーに照らし合わせると「殺生」を連想させるものとして、毛皮や革製品と同様に葬儀の場では避けるべきものとされてきました。しかし、べっ甲は古くから正装用の装飾品として重宝され、皇室行事などでも使用される格式高い素材であるという側面もあるため、年配の方や地域によっては「最上級の正装」として容認される場合もあり、プラスチック製のべっ甲柄(模造品)であれば、殺生の実害はないため、派手すぎなければ許容範囲とされることも多いです。一方、金縁メガネに関しては、葬儀では「光るもの」を身につけることがタブーとされているため、キラキラと輝く光沢のあるゴールドフレームは、アクセサリー感覚が強く、華美な印象を与えるため避けるのが基本マナーです。ただし、金縁といっても艶を抑えたマットゴールドや、フレームが非常に細くて肌馴染みの良いデザインであれば、上品で知的な印象を与えるため、必ずしも全てがNGというわけではありませんが、やはり銀縁(シルバー)や黒縁に比べると目立ちやすいため、不安な場合は避けた方が無難でしょう。特に、レンズの周りだけでなく、テンプル(つる)の部分に宝石やラインストーンが埋め込まれているような装飾過多なデザインや、ブランドロゴが大きく入っているものは、素材に関わらず葬儀の場には不適切ですので、デザインのシンプルさを最優先に選ぶべきです。もし、普段使いのメガネがべっ甲や金縁しかなく、買い換える時間もない場合は、受付や焼香の時だけ眼鏡を外すか、髪型でフレームを目立たなくするなどの工夫をしつつ、堂々と振る舞うよりも控えめな態度で参列することが、周囲への配慮として求められます。